シーミー・旧盆の重箱料理|沖縄の行事食を糀調味料で仕込む

シーミー・旧盆の重箱料理|沖縄の行事食を糀調味料で仕込む

沖縄の春のシーミー(清明祭)、そして夏の旧盆。ご先祖さまの前に並ぶ重箱料理(ウサンミ)は、沖縄のご家庭にとって一年の大仕事です。三枚肉の煮付け、揚げ物、かまぼこ、昆布、そして炊き込みご飯のじゅーしー…品数が多く、前日からの段取りがものを言います。この記事では、那覇市国場で糀をつくる仲宗根糀家が、重箱料理の献立の組み立て方と、前日から当日までの段取り、そして塩こうじ・醤油こうじで下ごしらえを楽にするコツをまとめました。慌ただしい行事の朝を、少しでも落ち着いて迎えるための「設計図」としてお使いください。

シーミー・旧盆に欠かせない「重箱料理」とは

沖縄には、ご先祖さまと親族が向き合う大切な行事がいくつもあります。なかでもシーミー(清明祭)は新暦4月頃、清明の節気にあわせて親族がお墓に集まり、重箱を囲んで先祖供養をする行事です。そして旧盆は旧暦7月13〜15日、ウンケー(迎え)・ナカヌヒー(中日)・ウークイ(送り)の三日間で、ご先祖さまを家に迎えて送り出す、沖縄でもっとも大切にされる行事のひとつ。新暦では夏の盛り、ちょうど八月ごろにあたる年が多く、各地でエイサーの太鼓が響きます。

この二つの行事に共通して用意するのが重箱料理(ウサンミ/御三味)です。ご先祖さまへのお供えであり、集まった親族が分け合っていただく「ごちそう」でもあります。作る量も品数も多いため、段取りの組み方で当日の慌ただしさが大きく変わります。ここが、料理を担う方の一番の悩みどころではないでしょうか。

重箱の基本構成(おかず重ともち重)

沖縄の重箱は、おかずを詰めた「おかず重(チュクン)」と、白い餅を詰めた「もち重」を対(つい)で用意するのが基本の形とされています。品数や並べ方は地域やご家庭によって違いがありますが、おかずは奇数(七品・九品など)で詰める習わしが広く知られています。

おかず重の定番として並ぶのは、次のような料理です。ご家庭ごとに顔ぶれは変わりますが、代表的なものを挙げます。

  • 豚三枚肉の煮付け(甘辛く炊いた豚バラ肉。重箱の主役格)
  • 揚げ物(鶏の唐揚げ、魚の天ぷらなど)
  • 揚げ豆腐(島豆腐を厚めに切って揚げたもの)
  • 昆布(クーブ)の煮付けごぼうこんにゃく
  • かまぼこ(赤・白を彩りよく)
  • 田芋(ターンム)の料理 など

品数が多いぶん、一品ずつの下味や下ごしらえに時間がかかります。ここで頼りになるのが、漬けておくだけで下ごしらえが進む糀調味料です。

献立を糀調味料で整える理由

重箱料理は「作る量が多い」「前日から仕込む」のが特徴。この二つに、糀調味料はとても相性がよいのです。塩こうじ(塩麹)は米こうじ・塩・水を発酵させた調味料、醤油こうじは米こうじと醤油を合わせた発酵調味料で、どちらも、こうじ菌が生み出した酵素を含んでいます。

糀調味料が下ごしらえにうれしい理由

肉や魚がやわらかく仕上がりやすい:酵素がたんぱく質を少しずつほぐすため、しっとりとした口当たりに仕上がりやすくなります(調理のうえでの働き)。

味に奥行きが出る:塩味・旨味がなじみ、シンプルな味付けでも満足のいく仕上がりになりやすいです。

「漬けておくだけ」で下味が進む:前日に漬けておけば、当日は焼く・揚げる・煮るだけ。段取りが一気に楽になります。

仲宗根糀家の生塩こうじは、沖縄で黄麹(きこうじ)をつくる糀屋が、米こうじと塩で仕込んだ非加熱・無添加の塩こうじです。火入れをしていないため酵素が生きており、下ごしらえの相棒にぴったり。パウチ入りで、凍ったままでも扱えるので、冷凍庫から出してすぐ使えるのも忙しい行事の朝に助かります。

定番おかず別・糀調味料の使い分け(早見表)

重箱の定番おかずごとに、どの糀調味料をどう使うかをまとめました。分量・時間は一般的な目安です。ご家庭の味に合わせて調整してください。

料理 使う糀調味料 下ごしらえの目安 ねらい(調理のうえで)
豚三枚肉の煮付け 生塩こうじ または 生醤油こうじ 大さじ1〜2をもみ込み、冷蔵で半日〜1晩 やわらかく、味に奥行き
鶏の唐揚げ 生塩こうじ 大さじ1を、15分〜1晩 下味が決まり、しっとり
魚の天ぷら・焼き魚 生塩こうじ 薄く塗って15〜30分 臭みをやわらげ旨味を引き出す
揚げ豆腐(島豆腐) 生塩こうじ 少々 水切り後に薄くまぶす 下味が全体になじむ
野菜の煮物(ごぼう・にんじん) 生醤油こうじ 仕上げに小さじ1程度 しょうゆ控えめでも満足の味に

※分量・時間は一般的な目安です。塩こうじ・醤油こうじは塩味を含むため、いつものレシピの塩・しょうゆは控えめから始めて調整してください。

前日〜当日の段取りタイムライン

重箱料理でいちばん差がつくのは、味付けよりも段取りです。当日の朝にすべてを始めると必ず慌てます。「漬ける・戻す・下ゆで」は前日に、「揚げる・仕上げる・詰める」は当日に――と分けるのがコツ。糀調味料に漬ける工程を前日にまわすと、当日がぐっと軽くなります。

【前日】仕込みの日

  1. 肉・魚を糀調味料に漬ける:三枚肉、鶏肉、魚を、塩こうじ・醤油こうじに漬けて冷蔵庫へ。ここが翌日を楽にする一番のポイント。
  2. 乾物を戻す:昆布、干ししいたけ、ひじきを水で戻しておく。
  3. 下ゆで:ごぼう、こんにゃくをあく抜き・下ゆでしておく。
  4. じゅーしーの具を刻む:豚肉・にんじん・しいたけなどを細かく切って冷蔵。

【当日】仕上げの日

  1. 煮物から着手:三枚肉の煮付け、昆布・ごぼうの煮物を火にかける(時間のかかるものが先)。
  2. じゅーしーを炊く:炊飯器におまかせできるので、この間に他の作業を進める。
  3. 揚げ物:唐揚げ、魚の天ぷら、揚げ豆腐を揚げる。糀を漬けた食材は表面を軽くぬぐってから(後述)。
  4. かまぼこを切り、彩りを整える
  5. 粗熱を取ってから重箱に詰める:熱いまま詰めると傷みや水滴の原因に。しっかり冷ましてから。

この「前日7割・当日3割」の配分を意識するだけで、品数の多いシーミーや旧盆でも、前日の仕込みがそのまま心の余裕につながります。

主食「じゅーしー」の作り方

重箱と並んで行事の食卓に欠かせないのが、沖縄風の炊き込みご飯じゅーしーです。豚肉や根菜、ひじきの旨味がしみたごはんは、集まった親族にも喜ばれる一品。ここでは家庭で広く親しまれている一般的な作り方を、目安の分量でご紹介します。豚肉の下味に塩こうじを使うと、味がまとまりやすくなります。

材料(4人分・目安)

  • 米 2合
  • 豚バラ肉(三枚肉) 100g
  • にんじん 1/3本
  • 干ししいたけ 2枚(戻しておく)
  • ひじき(乾) 大さじ1(戻しておく)
  • だし(かつお・昆布などの合わせだし) 360ml程度
  • 生塩こうじ 大さじ1(豚肉の下味用)
  • しょうゆ 小さじ2、お好みで生醤油こうじ 小さじ1

作り方

  1. 豚バラ肉を1cm角に切り、生塩こうじ大さじ1をもみ込んで15分-30分ほどおく。
  2. にんじん・戻したしいたけ・ひじきを細かく刻む。
  3. 鍋やフライパンで豚肉を炒め、にんじん・しいたけ・ひじきを加えてさっと炒める。
  4. 洗った米を炊飯器に入れ、だしとしょうゆ(お好みで醤油こうじ)を加え、2合の目盛りまで水分を調整。炒めた具をのせて通常どおり炊く
  5. 炊き上がったら10分ほど蒸らし、底からさっくり混ぜて完成。

※塩こうじ・しょうゆの塩味を見ながら、だしの塩分は控えめに調整してください。分量・時間は目安です。

詰め方と彩りのコツ・作り手からのひとこと

せっかく作ったおかずも、詰め方ひとつで見栄えが変わります。重箱をきれいに整えるコツは次の通りです。

  • 汁気をしっかり切る:煮物は汁を切ってから詰めると、隣のおかずに色移りせず、日持ちの面でも安心です。
  • 色のバランスで並べる:赤(かまぼこ)・白(餅・揚げ豆腐)・茶(三枚肉)・緑(葉物)を散らすように置くと、全体が引き締まります。
  • 大きさをそろえて切る:一切れの大きさを近づけると、整った印象に。
  • 冷めてから詰める:温かいまま詰めると水滴がたまります。粗熱を取ってから。

糀屋からのひとこと

塩こうじ・醤油こうじは糖分を含むため焦げやすいのが特徴です。揚げ物や焼き物にする前に、表面の糀を軽くぬぐっておくと、こんがりきれいに仕上がります。旨味はしっかり中に入っているのでご安心を。

生(非加熱)の糀調味料は酵素が生きています。だからこそ「漬けて休ませる」時間が味方に。前日の仕込みに取り入れて、当日の負担を軽くしてください。

行事の下ごしらえを、生の塩こうじで

沖縄で黄麹をつくる糀屋の、非加熱・無添加の塩こうじ。前日に漬けておくだけで、当日の重箱づくりがぐっと楽になります。

生塩こうじを見る 生醤油こうじを見る

よくある質問

Q. シーミーと旧盆で、重箱の中身は変わりますか?

A. 基本の顔ぶれ(三枚肉、揚げ物、昆布、かまぼこ、餅など)は共通していることが多いです。細かな品数や並べ方は地域やご家庭によって違いがありますので、まずはご実家や親族の習わしに合わせるのがおすすめです。

Q. おかずは何品入れるのが正しいですか?

A. 沖縄では奇数(七品・九品など)で詰める習わしが広く知られています。ただし地域差・家庭差が大きい部分ですので、絶対の決まりというより「目安」と考えて、無理のない品数で整えて大丈夫です。

Q. 糀調味料に漬けた肉は、前日から準備しても大丈夫ですか?

A. はい、前日の仕込みにとても向いています。塩こうじ・醤油こうじをもみ込み、冷蔵庫で半日〜1晩おくのが一般的な目安です。必ず冷蔵庫で漬け、常温に長く置かないようにしてください。

Q. 塩こうじで下ごしらえした揚げ物が焦げやすいのはなぜ?

A. 塩こうじ・醤油こうじは糖分を含むため、そのぶん色づきが早く焦げやすくなります。揚げる・焼く前に表面の糀を軽くぬぐっておくと、きれいに仕上がります。旨味は中にしっかり入っているのでご安心ください。

Q. 甘酒や甘糀も、重箱料理に使えますか?

A. 煮物などの甘みづけには、砂糖の代わりに使える「糀の糖」(火入れ・冷凍でお届け)が便利です。一方、酵素甘こうじや甘糀は「飲む甘酒」ですので、行事の合間にそのまま味わうのがおすすめ。役割を分けて使うと、糀のある食卓がより豊かになります。

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