きのこ麹の作り方と使い方|米こうじで引き出すうま味の万能だし

きのこ麹の作り方と使い方|米こうじで引き出すうま味の万能だし

きのこ麹(きのここうじ)は、数種類のきのこと米こうじを合わせて発酵させる、うま味たっぷりの手づくり調味料です。きのこのうま味と、米こうじの発酵で生まれるうま味が重なり合い、ひとさじ加えるだけで料理が深い味わいになる「だし」のような万能調味料になります。この記事では、沖縄で黄麹(きこうじ)をつくる糀屋・仲宗根糀家が、きのこ麹の作り方(基本レシピ)を、材料・分量・手順から、失敗しないコツ・きのこの選び方・使い方・保存の目安・よくある質問まで、まるごとご紹介します。だし麹(かつお節や昆布などのだし素材で作るもの)とはまた違う、きのこならではのうま味を、ぜひご家庭で。

きのこ麹とは?だし麹・塩麹との違い

きのこ麹とは、しいたけ・まいたけ・しめじ・えのきなどのきのこを刻んで、米こうじ・塩・水と合わせ、常温でゆっくり発酵させた調味料です。塩こうじの「うま味特化版」とイメージすると分かりやすいかもしれません。塩こうじが米こうじと塩だけのシンプルな調味料なのに対し、きのこ麹はきのこのうま味が加わるぶん、そのままで「だし」のように使えるのが大きな特徴です。

よく似た名前の「だし麹」と混同されがちですが、両者は使う素材が違います。だし麹はかつお節・昆布・煮干しといった乾物のだし素材を米こうじと合わせるのに対し、きのこ麹は生のきのこが主役。同じ「うま味を足す調味料」でも、素材も香りも別物です。まずは3つの違いを表で整理してみましょう。

調味料 主な材料 味わい・使いどころ
きのこ麹 きのこ+米こうじ+塩+水 きのこの深いうま味と香り。スープ・炒め物・和え物のだし代わりに
だし麹 かつお節・昆布・煮干し等+米こうじ+塩 和風だしのうま味。汁物・煮物・卵料理に
塩こうじ 米こうじ+塩+水 すっきりした塩味とまろやかなうま味。下味・漬け込みに

つまり、きのこ麹は「きのこのうま味を、米こうじの発酵でさらに引き出した万能だし調味料」。玉ねぎ麹やトマト麹のように、素材によって表情が変わる野菜(きのこ)の発酵調味料の仲間です。作り方の土台は塩こうじとよく似ているので、塩こうじを作ったことがある方なら気軽に挑戦できます。

きのこ麹が「万能だし」になる理由(うま味の重なり)

きのこ麹が「ひとさじで料理が決まる」と言われるのは、うま味成分が重なり合うからです。ここには、料理人が昔から使ってきた「合わせだし」と同じ考え方があります。

きのこ麹に生まれる、2種類のうま味

きのこ由来のうま味:きのこには、うま味成分のひとつであるグアニル酸が含まれます。しいたけの「だし」が親しまれてきたのは、このためです。

米こうじ由来のうま味:米こうじが発酵する過程で、こうじ菌の酵素がお米のたんぱく質をほぐし、うま味成分であるアミノ酸(グルタミン酸など)を生み出します。

この2種類のうま味が合わさると、うま味は足し算以上に感じられると言われています。昆布(グルタミン酸)とかつお節(イノシン酸)を合わせると、だしがぐっと濃く感じられるのと同じ考え方です。きのこ麹は、きのこと米こうじだけで、この「うま味の重なり」を家庭でつくれるのが魅力。だからこそ少量でも料理に深みが出て、だしを別に取らなくても味が決まるのです。さらに、こうじ菌の酵素がお米のでんぷんをやさしい甘みに変えるため、ほんのりとした甘みとコクも加わり、塩味・うま味・甘みが一体になった味わいに仕上がります。

材料と、使うきのこの選び方

まずは基本の材料です。分量は一般的な目安なので、お好みで調整してください。

  • お好みのきのこ(数種類) 合わせて約200g
  • 米こうじ(生米こうじ) 100g
  •  大さじ2(約30g・きのこと米こうじを合わせた重量の約10%が目安)
  •  ひたひたになる程度(約100〜150ml。きのこから水分が出るので、少なめから調整)

きのこは数種類を組み合わせると、うま味に厚みが出ておすすめです。それぞれ味わいの個性が違うので、下の表を参考に選んでみてください。

きのこ 味わいの特徴
しいたけ うま味と香りが強く、だし感の要。少し入れるだけで存在感が出る
まいたけ 香りが豊かでコクが深い。全体の味を引き締める
しめじ くせがなく、やさしいうま味。土台づくりに使いやすい
えのき とろみと甘みが出る。全体をまろやかにまとめる
エリンギ 淡白で香りは控えめ。ほかのきのこの引き立て役に

迷ったら、「しいたけ+しめじ+まいたけ」の3種を軸にすると、うま味・香り・まろやかさのバランスが取りやすくなります。うま味をぐっと濃くしたいときは、干ししいたけを少し加えるのもおすすめです。

味の決め手になるのが、発酵の主役である米こうじです。仲宗根糀家の生米こうじは、沖縄で黄麹をつくる糀屋が、乾燥させずに仕上げた無添加の生の米こうじ。乾燥タイプに比べてお米の風味がしっかり感じられ、酵素の働きも強い傾向があるため、きのこ麹づくりの土台にぴったりです。塩は、素材の味を邪魔しないシンプルな塩を選びましょう。

きのこ麹の作り方・基本レシピ

作り方の流れは、塩こうじとよく似ています。きのこを刻んで、米こうじ・塩・水と合わせ、常温に置いてゆっくり仕込むだけ。時間や分量は目安として、お好みで調整してください。

基本の流れ

  1. きのこの下処理をする:きのこは石づきを取り除きます。洗うと風味が落ちやすいので、汚れが気になる部分はふき取る程度に。しいたけは薄切り、しめじ・まいたけは小房に、えのきは短く切ります。
  2. きのこを細かく刻む:包丁で粗みじんにします。フードプロセッサーで細かくすると、うま味が早く引き出され、なめらかな仕上がりになります。
  3. 米こうじをほぐす:生米こうじを清潔な手やスプーンでパラパラにほぐします。粒が固まっていたら、指でやさしくばらします。
  4. 材料を混ぜ合わせる:清潔なボウルに、刻んだきのこ・米こうじ・塩を入れ、全体がなじむまでよく混ぜます。にぎるようにして混ぜると、発酵が進みやすくなります。
  5. 水を加える:きのこと米こうじがひたひたに浸るくらいの水を加えます。きのこから水分が出るので、少なめから始めて様子を見ましょう。
  6. 常温に置いて育てる:清潔な保存容器に移し、ふたを軽くのせて(密閉しない)常温に置きます。1日1回、清潔なスプーンで底から混ぜます。夏場は5〜7日、冬場は7〜10日ほどが目安です。
  7. できあがりを見極める:米こうじの粒がやわらかくなり、とろりとして、きのこと発酵の甘い香り・うま味が出てきたら完成です。味をみて、まろやかなうま味を感じられたらOK。
  8. 冷蔵庫で保存する:完成したら、それ以上発酵が進まないよう冷蔵庫で保存します。

きのこは生のまま発酵させても作れますが、心配な場合は、刻んだきのこをさっと加熱(乾煎りや電子レンジ)してから冷まし、米こうじ・塩・水と合わせる方法もあります。加熱すると発酵の進み方はゆるやかになりますが、きのこの水分が飛んでうま味が凝縮しやすくなります。どちらの場合も、清潔な道具を使い、発酵中は毎日混ぜて様子を見ることが大切です。

おいしく仕上げる5つのコツ

1. きのこは数種類を合わせる うま味の個性が重なり、単品より奥行きのある味に。しいたけを軸に、しめじ・まいたけ・えのきを組み合わせるのがおすすめです。

2. 細かく刻む きのこの断面が増えるほど、うま味が出やすく発酵も進みやすくなります。フードプロセッサーがあると手軽です。

3. 毎日1回かき混ぜる 全体を均一に発酵させ、表面の乾きを防ぎます。清潔なスプーンで、底からしっかり混ぜましょう。

4. 塩をきちんときかせる 塩は味付けだけでなく、日持ちを支える大切な役割があります。目安より大幅に減らさないようにしましょう。

5. 温かい場所に置く 発酵は気温が高いほど進みます。寒い季節は日数を長めに見て、あせらずじっくり待つのがコツです。

失敗しないための注意点

  • 道具は清潔に:容器・スプーン・手をよく洗い、水気をふき取ってから使います。雑菌が入ると傷みの原因になります。
  • ふたは密閉しない:発酵中はガスが出ることがあるため、ふたは軽くのせる程度に。清潔なガーゼやキッチンペーパーをかけてもよいでしょう。
  • 塩を減らしすぎない:塩が少ないと日持ちしにくくなります。減塩したい場合は、こまめに使い切ることを前提に。
  • できあがったら冷蔵保存:常温に置き続けると発酵が進みすぎて酸味が強くなります。完成したら冷蔵庫へ移しましょう。
  • においや色に違和感があれば使わない:ツンとする刺激臭、明らかな変色、カビが見えた場合は、無理せず処分してください。

発酵が進むと、きのこ麹はやや茶色っぽい色に変わっていきますが、これは自然な変化です。判断に迷うような見た目やにおいのときだけ、口にせず処分すれば安心です。

きのこ麹の使い方(万能だしとしての活用)

きのこ麹は、名前のとおりだしのように使える万能調味料です。塩味とうま味が一体になっているので、これひとつで味が決まりやすいのが魅力。汁ごと使うと、うま味を余さず活かせます。

  • スープ・味噌汁のだし代わりに:お湯に溶くだけで、きのこのうま味がきいた一杯に。仕上げに少し加えるのもおすすめです。
  • 炒め物の味付けに:野菜炒めやきのこ炒めに加えると、うま味とコクがプラスされます。
  • 卵かけご飯・冷奴に:醤油の代わりにひとさじ。うま味が加わって、いつもの一皿がぐっと豊かに。
  • パスタ・リゾットに:オリーブオイルと合わせて、和風にも洋風にも。バターとの相性も抜群です。
  • 肉・魚の下味に:漬け込んでから焼くと、うま味がしみ込みます。米こうじの働きで、しっとりとした仕上がりも期待できます。
  • 和え物・ドレッシングに:ゆで野菜に和えたり、酢や油と合わせてドレッシングにも。

きのこ麹には塩分が含まれるので、使うぶんだけ塩やしょうゆを控えると、ちょうどよい味に仕上がります。まずは少量から加えて、味をみながら調整するのがおすすめです。同じ発酵調味料でも、塩こうじや醤油こうじと使い分けると、料理の表情がぐっと広がります。

保存の目安

完成したきのこ麹は、清潔な密閉容器に入れて冷蔵保存します。

  • 冷蔵:一般的には、2週間ほどを目安に使い切るのがおすすめとされています。清潔なスプーンで取り分け、雑菌を入れないようにしましょう。
  • 冷凍:小分けにして冷凍すると、より長く保存できます。製氷皿で凍らせておくと、使いたいぶんだけ取り出せて便利です。

※保存期間は目安です。ご家庭の環境や衛生状態によって異なります。においや色に違和感があれば食べるのは控えましょう。

うま味の万能だしは、生の米こうじから

沖縄で黄麹をつくる糀屋の、乾燥させない無添加の生米こうじ。きのこ麹はもちろん、甘酒・塩こうじづくりの土台にも。

生米こうじを見る 生塩こうじを見る

よくある質問

Q. きのこ麹に向いているきのこは何ですか?

A. しいたけ・まいたけ・しめじ・えのき・エリンギなど、身近なきのこで作れます。うま味や香りの個性が異なるため、数種類を組み合わせると味に厚みが出ます。うま味を強くしたいときは、干ししいたけを少し加えるのもおすすめです。

Q. 生のきのこで作っても大丈夫ですか?

A. 塩こうじと同じように、生のきのこを刻んで発酵させる方法が広く親しまれています。気になる場合は、刻んだきのこをさっと加熱してから冷まし、米こうじ・塩・水と合わせてもよいでしょう。いずれの場合も、清潔な道具を使い、毎日かき混ぜて様子を見ることが大切です。

Q. 発酵にはどのくらいの日数がかかりますか?

A. 一般的には、夏場で5〜7日、冬場で7〜10日ほどが目安です。気温が高いほど早く進みます。米こうじの粒がやわらかくなり、とろりとしてうま味と甘い香りが出てきたら完成のサインです。日数はあくまで目安なので、香りと味で見極めましょう。

Q. 塩加減の目安を教えてください。

A. きのこと米こうじを合わせた重量の約10%が目安です。塩は味付けだけでなく日持ちを支える役割もあるため、大幅に減らすと傷みやすくなります。減塩したい場合は、早めに使い切ることを前提にしましょう。

Q. きのこ麹と塩こうじ・だし麹は、どう使い分ければいいですか?

A. すっきりした塩味で下味をつけたいときは塩こうじ、和風だしのうま味を足したいときはだし麹、きのこの深いうま味とコクで料理を仕上げたいときはきのこ麹、と使い分けると便利です。どれも発酵調味料なので、料理に合わせて選ぶと味の幅が広がります。

あわせて読みたい:玉ねぎ麹の作り方米こうじの使い方ガイドこうじ調味料の使い分けトマト麹の作り方

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