「洋食にも使える発酵調味料がほしい」——そんなときに頼りになるのが、トマトと米こうじ、塩だけで仕込むトマト麹です。家庭でできるトマト麹の作り方から、パスタやスープに生かせる使い方、発酵食品に欠かせない保存と安全のポイントまで、沖縄の糀屋の視点でまとめました。塩麹や玉ねぎ麹はあるけれど洋風料理にはもう一歩、という方に読んでほしい内容です。
目次
1. トマト麹とは
2. 材料と道具の準備
3. トマト麹の作り方(基本手順)
4. 発酵の見極めと保存・安全のポイント
5. トマト麹の使い方:洋食に合う理由
6. 洋風レシピ集
7. 味を左右する米こうじの選び方
8. よくある質問
トマト麹とは
トマト麹は、トマト・米こうじ・塩を合わせて発酵させた調味料です。にんにく麹や玉ねぎ麹と同じ「野菜×こうじ」の発酵調味料の仲間で、トマトがもともと持つうま味成分(グルタミン酸)と、米こうじの働きで引き出される甘みやコクが重なり合うのが持ち味だと言われています。塩麹が塩味を軸にした万能調味料であるのに対し、トマト麹は酸味・うま味・ほのかな甘みのバランスがよく、そのままでも洋風料理の土台になります。トマトソースを一から作らなくても、炒め物や煮込みに少し加えるだけで奥行きが出るため、忙しい日の味方になってくれます。
仲宗根糀家は沖縄・那覇市国場で黄麹を扱う糀屋です。生・無添加の米こうじを使えば、こうじ本来の香りと働きを生かしたトマト麹を、家庭でも仕込めます。市販の発酵調味料に頼らず、材料も味わいも自分で決められるのが手作りの楽しさです。
材料と道具の準備
用意するものはとてもシンプルです。基本の材料は「トマト・米こうじ・塩」の3つだけ。特別な道具はいりませんが、清潔な保存容器と、混ぜるためのスプーンがあれば十分です。トマトはフレッシュな完熟トマトのほか、トマトの水煮缶やトマトピューレでも作れます。
※なるべく保存料などが使われていないものをお使いください。
材料の目安(作りやすい分量)
◆ トマト:完熟トマト300g(水煮缶・ピューレでも可)
◆ 米こうじ:生米こうじ100g(乾燥タイプは少量の水で戻す)
◆ 塩:40g(全体量の約10%)。傷みを防ぐため、これより減らさないでください
トマトの水分量で仕上がりが変わります。フレッシュトマトはさらっと軽やかに、水煮缶やピューレは濃厚に仕上がります。塩は保存性に関わる大切な要素なので、目分量ではなくきちんと計量するのがおすすめです。生米こうじを使う場合は水を足さずそのまま、乾燥米こうじの場合は少量の水で戻す感覚で仕込みます。
トマト麹の作り方(基本手順)
トマト麹の作り方は、材料を合わせて常温に置き、毎日ひと混ぜするだけ。特別な技術はいりません。玉ねぎ麹や塩麹を作ったことがある方なら、同じ感覚で仕込めます。
基本の流れ
- 下ごしらえ:トマトは湯むきして粗みじん、または軽くつぶす。水煮缶ならそのまま使う
- 混ぜる:清潔な容器に米こうじ・トマト・塩を入れ、全体が均一になるまで混ぜる
- 発酵:ふたを軽くのせ、直射日光を避けた常温(20〜30℃目安)に置く
- 手入れ:1日1回、清潔なスプーンで底からしっかり混ぜる
- 完成:夏場で5〜7日、冬場で7〜10日ほど。米こうじの粒がやわらかくなり、とろみとうま味が出たら完成
気温が低い時期は発酵が進みにくいため、暖かい場所に置くか、日数を長めにとって様子を見ます。生米こうじは粒がふっくらとほどけやすく、発酵の進み具合が見えやすいのも、仕込みやすさにつながります。とろみが足りないと感じたら、あと1〜2日おいて様子を見てください。
発酵の見極めと保存・安全のポイント
発酵食品を扱ううえで、いちばん大切なのが衛生管理です。仕込みから保存まで、いくつかの点を守れば、家庭でも安心してトマト麹を楽しめます。
安全のポイント
◆ 清潔第一:容器・スプーンは熱湯やアルコールで消毒し、水気を拭き取ってから使う
◆ 塩を減らしすぎない:塩は発酵を穏やかに保つ役割があり、減らしすぎると傷みやすくなる
◆ 見た目とにおいを確認:黒・青・ピンクのカビ、ツンとする異臭、糸を引く粘りが出たら食べずに処分する
◆ 完成後は冷蔵:発酵が進んだら冷蔵庫で保存し、2〜3週間を目安に使い切る
トマト麹は加熱せずそのまま調味料として使えますが、心配な場合や、小さなお子さま・体調に不安のある方が口にする場合は、加熱して使うと安心です。常温で長く置きすぎると過発酵で酸味が強くなるので、味を見ながら管理してください。作り置きは無理をせず、使い切れる量を仕込むのがコツです。
トマト麹の使い方:洋食に合う理由
トマト麹の使い方は幅広く、「うま味・塩味・酸味」がひとつにまとまっているのが便利なところです。トマトのグルタミン酸と、こうじ由来のうま味が合わさることで、少量でも料理に深みが出ると言われています。塩の代わりに使えば、味つけとコク出しが一度で決まります。オリーブオイルやにんにく、チーズといった洋の素材とよく合うため、洋風料理と特に相性がよいのが特徴です。
| 調味料 | 味の特徴 | 得意な料理 |
|---|---|---|
| トマト麹 | うま味・酸味・ほのかな甘み | パスタ・スープ・煮込みなど洋食 |
| 塩麹 | まろやかな塩味とうま味 | 肉・魚の下味、和洋問わず万能 |
| 玉ねぎ麹 | 甘みとコク、だしのような風味 | 炒め物・スープ・和食の味つけ |
※いずれも生タイプは非加熱で使えますが、保存は冷蔵で。加熱調理にも使えます。
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洋風レシピ集
トマト麹があれば、いつもの料理が手早く洋風に仕上がります。下味に使うときは、肉や魚にこうじの働きが加わり、風味が引き立つと言われています。
まずはこの5品から
◆ トマト麹パスタ:ゆでたパスタにトマト麹・オリーブオイル・にんにくを和えるだけ。仕上げに粉チーズを
◆ 具だくさんスープ:野菜とトマト麹を煮るだけで、コンソメいらずのやさしいスープに
◆ 鶏肉のトマト麹煮込み:鶏もも肉にトマト麹をもみ込んで焼き、水を加えて煮込む
◆ 手作りドレッシング:トマト麹+オリーブオイル+酢を混ぜ、サラダや蒸し野菜に
◆ オムレツソース:焼いたオムレツやソテーに、温めたトマト麹をかけて
味つけに迷ったら、まずは塩の代わりに小さじ1杯を目安に加え、足りなければ少しずつ足していくと失敗しにくいです。加熱するとこうじの働きは穏やかになりますが、トマトのうま味とコクは料理にしっかり生きます。
味を左右する米こうじの選び方
トマト麹の仕上がりは、土台となる米こうじの質に大きく左右されます。米こうじには生タイプと乾燥タイプがあり、生米こうじは粒がやわらかく、水戻しの手間なくそのまま仕込めるのが特長です。発酵の様子も見えやすく、はじめての方にも扱いやすいこうじです。
仲宗根糀家の生米こうじは、沖縄で黄麹を扱う糀屋が、生・無添加で仕上げたもの。乾燥していないため、こうじ本来の香りと働きを生かした発酵調味料づくりに向いています。トマト麹はもちろん、塩麹や甘酒、玉ねぎ麹など、こうじを使った手作りの幅が広がります。
生米こうじ|沖縄・仲宗根糀家
トマト麹づくりの土台に。乾燥させていない「生」・無添加、沖縄の糀屋の生米こうじ。
生米こうじはこちら生の米こうじと乾燥米こうじのちがい
生米こうじはそのまま使え、水を足さずにトマト・塩と合わせます。材料の目安は生米こうじ100gに対してトマト300g・塩40gです。乾燥米こうじは水分が抜けているため、同じ100gをそのまま使うと発酵が進みにくく、仕上がりも硬くなりがちです。乾燥米こうじを使うときは、仕込む前に同量程度のぬるま湯(100gなら100ml前後)で30分ほど戻し、水気を含んでふっくらさせてから使うと、生米こうじに近い仕上がりになります。戻した水はこうじが吸うぶんそのまま仕込みに加えて構いません。仲宗根糀家では生米こうじを使っていますが、乾燥タイプでもこの一手間で同じように仕込めます。
保存の目安
冷蔵庫に入れておけば2〜3週間ほど、毎日の料理に使いながらおいしく食べきれます。使うたびに清潔なスプーンで取り分けると長持ちします。もっと長く置いておきたいときは冷凍庫へ。使う分だけ小分けにしておけば、1〜2ヶ月ほどゆっくり使えます。凍らせてもカチカチに固まりすぎないので、使いたい分だけすくって、そのまま料理に使えます。
よくある質問
Q. 生のトマトとトマト缶、どちらで作れますか?
A. どちらでも作れます。フレッシュな完熟トマトはさっぱりと、トマトの水煮缶やピューレは濃厚に仕上がります。水分量で味の濃さが変わるため、好みで使い分けてください。保存料など添加物が使われていないものをお使いください。
Q. 乾燥米こうじでも作れますか?
A. 作れます。乾燥タイプは少量の水で戻す感覚で仕込みます。生米こうじは水戻しの手間がなく、粒がほどけやすいので、初心者の方でも失敗しにくいです。
Q. どのくらい日持ちしますか?
A. 完成後は冷蔵庫で保存し、2〜3週間を目安に使い切るのがおすすめです。それ以上保管したい場合は冷凍庫で保管ください。使うたびに清潔なスプーンを使い、雑菌が入らないようにしてください。異臭やカビが出た場合は食べずに処分します。
Q. 加熱して使っても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。トマト麹はそのままでも、加熱調理にも使えます。心配な場合や体調に不安のある方が口にするときは、加熱して使うと安心です。加熱するとこうじの働きは失われますが、うま味やコクは料理に生きます。
Q. 塩の量は減らせますか?
A. 塩は発酵を穏やかに保ち、保存性を高める役割があります。大幅に減らすと傷みやすくなるため、全体量の約10%を目安にし、減塩したいときは仕込みの塩は減らさず、料理に使う量のほうで調整してください。
Q. 発酵中、見た目にあまり変化がなく心配です
A. 気温が低い時期は発酵がゆっくり進みます。20〜30℃を保てる場所に置き直し、いつも通り1日1回混ぜながらさらに2〜3日様子を見てください。急がず気長に構えて大丈夫です。
Q. 混ぜ忘れた日があったのですが大丈夫ですか
A. 1日空いた程度なら問題ありません。気づいた時点で底からしっかり混ぜ、におい・色に変化がなければそのまま続けてください。何日も放置した場合は状態を確認してから判断します。
Q. とろみが出ず、さらさらのままです
A. トマトの水分が多いと仕上がりが緩めになります。もう1〜2日常温に置いて混ぜ続けると、米こうじの粒がほどけてとろみが増します。急ぐ場合は水煮缶やピューレを使うと濃厚に仕上がります。
Q. 塩辛く感じる・味が薄いと感じたときは
A. 塩は保存性に関わるため仕込み後に足すのは避け、使うときの料理の味つけで調整してください。薄ければ加える量を増やし、辛ければ他の調味料を控えめにして全体のバランスをとります。
Q. 半分の分量で仕込んでも作れますか
A. 作れます。米こうじに対してトマトは約3倍、塩は全体の約10%という比率さえ保てば、量を減らしても発酵の進み方は変わりません。少量なら小さめの清潔な容器を使ってください。
Q. 密閉できる容器がない場合はどうすればいいですか
A. 食品用のジップロックでも仕込めます。空気を軽く抜いて口を閉じ、発酵で膨らむ分の余裕を残しておくと安心です。毎日、袋の上からもみ込むようにして混ぜます。
Q. 使いかけはどう保存すればいいですか
A. 使うたびに清潔なスプーンで取り分け、容器のふちについたものは拭き取ってから冷蔵庫に戻してください。雑菌が入ると傷みが早まるので、素手で触らないことも大切です。
Q. 表面が乾いて色が濃くなってきました
A. 空気に触れる表面は乾燥や酸化で色が濃くなりやすい部分です。上下を入れ替えるように混ぜ込めば、全体としては問題なく使えます。においや味に違和感がなければ心配いりません。
Q. 仕込みから完成までどのくらい手間がかかりますか
A. 仕込み自体は10分ほどです。発酵にかかる期間は夏場で5〜7日、冬場で7〜10日が目安で、毎日の作業は混ぜるだけの1分程度なので、思ったより手間はかかりません。
Q. できあがった量が思ったより少ないです
A. トマトの水分が蒸発したり、米こうじが水分を吸ったりするため、仕込み時より量が減るのは自然なことです。目減りを見込んで、使いたい分量よりやや多めに仕込むと安心です。
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