米麹甘酒と酒粕甘酒の違い|原料・味・アルコールの有無を糀屋が解説

米麹甘酒と酒粕甘酒の違い|原料・味・アルコールの有無を糀屋が解説

スーパーの棚に並ぶ甘酒。実は、大きく「米麹(こうじ)から作る甘酒」「酒粕(さけかす)から作る甘酒」の2種類があります。同じ「甘酒」という名前でも、原料・作り方・味わい・アルコールの有無・甘みの出し方がまったく違う、別の飲みものです。この記事では、沖縄で黄麹(きこうじ)をつくる糀屋・仲宗根糀家が、米麹甘酒と酒粕甘酒の違いを、原料から作り方、味、アルコール、砂糖、保存、パッケージの見分け方まで、事実にもとづいて整理します。「どちらを選べばいいの?」という方の道しるべにしてください。

甘酒には2種類ある(米麹甘酒と酒粕甘酒)

甘酒と一口に言っても、そのつくられ方は大きく2通りあります。ひとつが米麹(米こうじ)から作る甘酒、もうひとつが酒粕から作る甘酒です。名前が同じなので混同されやすいのですが、原料も、甘さの正体も、そもそもの性質も別ものです。

ざっくり言えば、米麹甘酒はお米と米麹だけで甘くなる甘酒酒粕甘酒は日本酒づくりの副産物「酒粕」に砂糖を加えて仕立てる甘酒です。仲宗根糀家が仕込み、お客さまにお伝えしているのは前者の米麹甘酒のほう。ここから、その違いをひとつずつ見ていきましょう。

原料の違い

いちばん大きな違いは、そもそもの原料です。

米麹甘酒 原料はお米・米麹(米こうじ)・水。基本はこれだけです。麹菌がつくり出した酵素が、お米のでんぷんを少しずつ糖に変えていくことで甘みが生まれます。砂糖を加えなくても甘くなるのが特徴です。

酒粕甘酒 原料は酒粕・水・砂糖が基本。酒粕は、日本酒を仕込んだもろみを搾ったあとに残る固形分(副産物)です。酒粕そのものにははっきりした甘みが少ないため、一般的には砂糖を加えて甘さを出します。

つまり、米麹甘酒の甘みはお米と麹の酵素が引き出した自然な甘み、酒粕甘酒の甘みは加えた砂糖による甘みという違いがあります。この「甘さの正体」の差が、後で見るアルコールの有無や、飲むシーンの違いにもつながっていきます。

作り方の違い

原料が違えば、当然つくり方も変わります。作り手の目線で、それぞれの流れをかんたんにご紹介します。

米麹甘酒の作り方(発酵させて甘くする)
炊いたご飯やお粥に米麹と水を合わせ、おおよそ57〜60度を数時間キープして発酵させます。この温度帯で麹の酵素がいちばんよく働き、時間をかけてお米が甘くなっていきます。砂糖を使わないぶん、この「温度と時間の管理」が味の決め手。手間はかかりますが、そのぶんお米そのものの自然な甘みが生まれます。ご家庭では炊飯器の保温機能を使う方法が広く知られています。

酒粕甘酒の作り方(溶かして甘みを足す)
酒粕を水やお湯でやわらかく溶かし、砂糖を加えて火にかけ、あたためればできあがり。発酵させる工程がないので、短時間でさっと作れるのが利点です。寒い日にお鍋でさっと温めて飲む、という楽しみ方がなじみ深い方も多いでしょう。

※米麹甘酒の詳しい分量と炊飯器での手順は、この記事の後半(第8章)と、あわせて読みたい記事でご紹介しています。

味わい・香りの違い

飲んだときの印象も、2つははっきり違います。どちらが良い・悪いではなく、好みや飲むシーンで選び分けるのがおすすめです。

  • 米麹甘酒:お米由来のすっきりとやさしい甘み。クセが少なく、ほんのりつぶつぶした食感が残るものもあります。冷やしても温めても飲みやすく、素材の風味を生かした味わいです。
  • 酒粕甘酒:酒粕ならではのコクと、日本酒を思わせる華やかな香り。とろみがあり、飲みごたえのあるリッチな風味です。生姜を添えて楽しむ方も多い、大人の味わいです。

「甘酒が少し苦手」という方の中には、酒粕特有の香りが理由だったという方もいらっしゃいます。その場合は、香りのクセが少ない米麹甘酒から試してみると、印象が変わるかもしれません。

【比較表】アルコール・砂糖・作り方の違い

ここまでの違いを一覧に整理しました。買うとき・選ぶときの早見表としてお使いください。

項目 米麹甘酒 酒粕甘酒
主な原料 お米・米麹・水 酒粕・水・砂糖
甘みの出し方 麹の酵素による自然な甘み(砂糖不使用でも甘い) 一般的に砂糖を加えて甘くする
アルコール 含まない(ノンアルコール) 酒粕由来の微量のアルコールが残ることがあると言われる
作り方 57〜60度で数時間発酵させる(時間がかかる) 酒粕を溶かして砂糖を加え温める(短時間)
味わい すっきり・やさしい・クセ少なめ コクと香りが豊か・リッチ
向いているシーン お子さまと一緒に・運転前でも・毎日の一杯に 寒い日にあたたかく・大人の楽しみとして

※アルコール・砂糖の有無は商品によって異なります。実際の表示は各商品のパッケージ(原材料名・アルコール分)でご確認ください。

アルコールと砂糖 ― ここが一番の分かれ目

米麹甘酒と酒粕甘酒を選び分けるうえで、いちばん実用的なポイントが「アルコール」と「砂糖」です。

アルコール 米麹甘酒は発酵させてもアルコールを含まないノンアルコール飲料です。一方、酒粕甘酒は原料の酒粕に日本酒由来のアルコールが残っているため、加熱しても微量のアルコールが残ることがあると言われます。お子さま、運転前、妊娠・授乳中の方などが飲む場合は、酒粕甘酒はパッケージの表示をよく確認するのが安心です。

砂糖 米麹甘酒は砂糖を使わずに、お米と麹の力だけで甘くなるのが本来のかたち。酒粕甘酒は一般的に砂糖を加えて甘みを出します。甘さの「材料」が違うわけです。

「家族みんなで、砂糖を足さずに飲めるものがいい」という方は米麹甘酒、「香りとコクをしっかり楽しみたい大人の一杯」という方は酒粕甘酒、と覚えておくと選びやすくなります。

パッケージ・原材料表示での見分け方

お店で「これはどっちの甘酒?」と迷ったら、裏面の原材料名を見るのが確実です。作り手の視点で、見分けの目安をまとめました。

原材料表示のチェックポイント

  1. 「米、米こうじ(米麹)」と書かれていたら → 米麹甘酒です。砂糖の記載がなければ、麹の甘みだけで仕立てたタイプ。
  2. 「酒粕、砂糖」と書かれていたら → 酒粕甘酒です。砂糖が上位に書かれていることが多いのも目印。
  3. 「アルコール分」の表記があるか → 表記があれば酒粕由来のアルコールを含む可能性があります。ノンアルコールを選びたいときの手がかりに。
  4. 「ストレートタイプ」か「濃縮(希釈用)タイプ」か → そのまま飲めるか、水などで割って飲むかの違い。米麹甘酒・酒粕甘酒のどちらにも両方あります。

ちなみに、甘酒は「甘こうじ」「甘糀」など別の呼び名で売られていることもあります。

米麹甘酒を家で作るなら(材料と手順)

「砂糖を使わない米麹甘酒を、家で作ってみたい」という方へ。仲宗根糀家が実際にお伝えしている、炊飯器でつくる米麹甘酒の基本の分量と流れをご紹介します。

  • 米こうじ(米麹) 200g
  • お米 1合
  •  200cc

基本の流れ

  1. お粥を炊く:お米1合と水でやわらかめのお粥を炊きます。
  2. 温度を下げる:米こうじを入れる前に、57度以下まで冷まします(熱すぎると麹の酵素が働きにくくなります)。
  3. 米こうじを混ぜる:冷めたお粥に米こうじ200gを加え、よく混ぜ合わせます。
  4. 保温で発酵:炊飯器の保温機能で57〜60度を約7時間キープ。フタは開けて布巾をかけ、途中で数回かき混ぜ、58度前後で均一に保ちます。
  5. できあがり:全体がとろりと甘くなればできあがり。冷蔵で1週間ほど、冷凍で3ヶ月ほどが保存の目安です。

詳しい手順とコツは、あわせて読みたい記事「炊飯器で作る甘酒」で写真とともにご紹介しています。「作る時間はないけれど、砂糖不使用の米麹甘酒を飲みたい」という方は、次にご紹介する仲宗根糀家の甘酒もぜひ。

糀屋のこだわり ― 沖縄・黄麹の米麹甘酒

仲宗根糀家は、沖縄では珍しい食用の黄麹(きこうじ)をつくるパイオニアの糀屋です。那覇市国場の自社工房で、乾燥させていない「生」の米糀を使い、砂糖を一切加えずに米麹甘酒を仕込んでいます。砂糖不使用・ノンアルコール・無添加。お米と麹が生み出す、すっきりとやさしい甘さです。

砂糖不使用・ノンアルの米麹甘酒を、毎日ひとくち

沖縄の糀屋がつくる「毎日甘酒」。150mlの飲みきりサイズだから、冷凍庫にストックして、1日1本を解凍してそのまま。砂糖不使用・ノンアルコール・無添加です。

毎日甘酒を見る 酵素甘こうじを見る

よくある質問

Q. 米麹甘酒と酒粕甘酒、どちらが甘いですか?

A. 甘さの「出どころ」が違います。米麹甘酒はお米と麹の酵素が引き出す自然な甘み、酒粕甘酒は加えた砂糖による甘みが中心です。商品によって甘さの強さは変わるので、パッケージの原材料や味の説明を目安に選んでください。

Q. 子どもや運転前でも飲めるのはどちらですか?

A. アルコールを含まないのは米麹甘酒です。酒粕甘酒は酒粕由来の微量のアルコールが残ることがあると言われます。お子さま・運転前・妊娠授乳中の方が飲む場合は、ノンアルコール表示のある米麹甘酒を選ぶか、酒粕甘酒はパッケージの表示をよく確認すると安心です。

Q. 砂糖を使っていない甘酒はどちらですか?

A. 米麹甘酒は、砂糖を加えなくてもお米と麹の力で甘くなるのが本来のかたちです。ただし商品によっては砂糖を加えているものもあるため、砂糖不使用を選びたいときは原材料名をご確認ください。仲宗根糀家の甘酒は砂糖不使用です。

Q. 「甘こうじ」「甘糀」も酒粕甘酒とは違うものですか?

A. 「甘こうじ」「甘糀」は米麹から作る甘酒の呼び名で、酒粕甘酒とは別ものです。

Q. 米麹甘酒は家でも作れますか?

A. 作れます。米こうじ・お米・水があれば、炊飯器の保温機能で57〜60度を約7時間キープして発酵させる方法が広く知られています。この記事の第8章に基本の分量と流れをまとめています。作る時間がないときは、砂糖不使用の市販の米麹甘酒を活用するのも手です。

あわせて読みたい:炊飯器で作る甘酒

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