月桃の香りをまとった黒糖の餅が、もちもちとやわらかく仕上がります。使うのはもち粉と黒糖、月桃(サンニン)の葉だけ。旧暦12月8日ごろの「ムーチーの日」に、家族の健康と子どもの成長を願って作りたい方に向けて、生地の水加減から包み方、蒸し時間の目安までまとめました。
この記事の要点
- もち粉150gに対して水は100〜150cc、黒糖は約100gが目安
- 生地は月桃の葉の裏側(つるつる面)にのせて薄く油を塗って包む
- 蒸気の上がった蒸し器で強め〜中火、20〜30分蒸す
ムーチー(鬼餅)とは?旧暦12月8日ごろの行事と鬼餅の言い伝え
ムーチーとは、月桃(サンニン)の葉で包んで蒸した沖縄の行事餅で、旧暦12月8日ごろに家族の健康と子どもの成長を願って食べる習わしです。
沖縄には、鬼になってしまった兄を、妹が鉄や瓦を混ぜた餅を食べさせて退治したという言い伝えが残っています。この鬼退治に使われた餅が「鬼餅」と呼ばれるようになり、蒸すときに立つ月桃の葉の香りには邪気を払う意味が込められているとも語られています。新暦の日付は年によって変わるため、ムーチーの日は毎年「旧暦12月8日ごろ」とされています。
沖縄には、行事とともに育まれてきた発酵の食文化もあります。豆腐ようや泡盛など、糀とはまた別の発酵の技については沖縄の発酵食品でも紹介しています。仲宗根糀家は、そのなかでも食卓のための黄麹(きこうじ)づくりを手がけている立場から、この記事をまとめました。もう少し詳しく麹の歴史を知りたい方は沖縄における麹の歴史と食文化もあわせてご覧ください。
黒糖ムーチーの基本の作り方(材料と月桃の葉の準備)
黒糖ムーチーは、もち粉に黒糖と水を混ぜた生地を月桃の葉で包み、蒸し器で20〜30分蒸せば仕上がります。
材料(一口大 20個分の目安)
- もち粉(餅粉):150g
- 水:100〜150cc(生地の様子を見ながら)
- 黒糖(粉末または刻んだもの):約100g
- 月桃(サンニン)の葉:1個につき2枚が目安
- ムーチー用のひも(または月桃の葉を裂いたもの)
- 油:少々(葉に薄く塗る用)
※沖縄県栄養士会のレシピでは、もち粉5カップに対して水2.25カップとやや幅のある配合も紹介されています。生地の状態を見ながら加減してください。
- ボウルにもち粉を入れ、水を少しずつ加えながら耳たぶくらいの柔らかさになるまでこねます。
- 黒糖を加えてさらに練り込み、全体になじませます。
- 生地を20個ほどに分け、俵形やだんご状に丸めます。
- 月桃の葉は裏側(つるつるした面)を上にして重ね、薄く油を塗ります。
- 葉の上に生地をのせて包み、両端をひもで結びます。
- 蒸気がしっかり上がった蒸し器に並べ、強め〜中火で20〜30分蒸します。
- 竹串を刺して生地がついてこなければ、蒸し上がりの合図です。粗熱を取ってからいただきます。
砂糖の一部を「糀の糖」に置き換えるやさしい甘さの工夫
黒糖の甘さはコクが強く出るため、量の一部を糀の糖に置き換えると、後味が軽いやさしい甘さに仕上がります。
糀の糖は、米糀を煮詰めてつくる糀だけの甘味料で、黒糖ではなく砂糖も使っていません。米糀の酵素が引き出す自然な甘みが特徴です。まずは黒糖の一部を糀の糖に置き換えるところから試してみると、甘さの違いを比べやすくなります。置き換える量はお好みで加減してください。甘こうじと糀の糖の違いが気になる方は甘こうじと糀の糖の違いもご覧ください。
※糀の糖は冷凍でお届けしています。使う分だけ取り出し、残りは冷凍庫で保存してください。
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月桃の葉で失敗しないための3つのコツ
月桃の葉に薄く油を塗ってから生地を包み、蒸気を切らさず強め〜中火で20〜30分蒸し続けること。これがこの記事で唯一の急所です。
失敗しないための3つのコツ
- 葉の面と油:葉の裏側(つるつる面)に生地をのせ、薄く油を塗ると蒸し上がったときに剥がれやすくなります
- 生地のかたさ:水は様子を見ながら少しずつ加え、耳たぶくらいの柔らかさに調整します
- 蒸気を切らさない:蒸気がしっかり上がってから生地を入れ、蒸している途中でふたを何度も開けないようにします
生地が葉にくっついて剥がれにくいときは、蒸したてより少し冷ましてから剥がすと、きれいに外れやすくなります。
保存方法と食べ方のアレンジ
蒸したてはやわらかく、時間がたつと少し硬くなるのが餅の性質です。すぐに食べない分は一つずつラップに包み、冷凍しておくと風味を保ちやすいと言われています。
食べるときは蒸し直すか、電子レンジで様子を見ながら温めると、蒸したてに近いやわらかさに戻ります。沖縄には紅芋やかぼちゃを加えた彩り豊かなムーチーもありますが、水分量や生地の配合が異なるため、基本の黒糖ムーチーとは分けて考えるとよいでしょう。
沖縄の行事餅にはほかに、十五夜(旧暦8月15日ごろ)に供えるふちゃぎもあります。ムーチーとは行事も作り方も異なるお菓子です。
この記事で使う糀
仲宗根糀家は、沖縄で黄麹(きこうじ)づくりのパイオニアとして糀の商品をつくっています。糀の糖は、米糀をじっくり煮詰めてつくる糀だけの甘味料で、添加物は使っていません。冷凍でお届けしているので、行事のたびに少しずつ取り出して使うのにも便利です。
よくある質問
Q. ムーチーはいつ食べる行事ですか?
A. 旧暦12月8日ごろに、家族の健康と子どもの成長を願って食べる沖縄の行事です。新暦の日付は年によって変わるため「〜の頃」と伝えられています。
Q. 月桃の葉が手に入らないときはどうすればよいですか?
A. 月桃の葉はムーチー特有の香りづけの役割も担うため、なるべく用意するのがおすすめです。手に入りにくい場合は、生地だけを丸めて蒸す簡易的な作り方で楽しむこともできます。
Q. 生地が柔らかすぎたり硬すぎたりしたときはどうすればいいですか?
A. 柔らかすぎるときはもち粉を、硬いときは水を少しずつ足しながら、耳たぶくらいの柔らかさになるよう調整してください。
Q. 黒糖をすべて糀の糖に置き換えても作れますか?
A. 作ることはできますが、黒糖のコクが持ち味のお菓子なので、まずは一部を置き換えて甘さの違いを楽しむのがおすすめです。置き換える量は様子を見ながら加減してください。
Q. 葉が生地にくっついて剥がれません。どうすればいいですか?
A. 葉の裏側(つるつるした面)に生地をのせ、薄く油を塗ってから包むと剥がれやすくなります。蒸したてより少し冷ましてから剥がすのもコツです。
Q. 保存方法を教えてください。
A. 蒸したてはやわらかいですが、時間がたつと少し硬くなるのが餅の性質です。すぐに食べない分は一つずつラップに包んで冷凍しておくと、風味を保ちやすいと言われています。食べるときは蒸し直すか、電子レンジで様子を見ながら温めてください。
Q. フチャギとムーチーは同じものですか?
A. 違います。フチャギは十五夜(旧暦8月15日ごろ)に供える、蒸した餅に小豆をまぶした沖縄のお菓子です。行事も作り方もムーチーとは異なります。
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この記事を書いた人
沖縄で黄麹(きこうじ)を専門に作っている会社・仲宗根糀家です。黒糖や糀の糖など、沖縄の行事菓子に使われる甘みを日々の商品づくりで扱う立場から、ムーチーの作り方のポイントをまとめました。
旧暦12月8日ごろのムーチーの日、黒糖の甘さに糀の糖のやさしい甘みを添えてみませんか。
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