塩麹ステーキの作り方|安い牛肉がやわらかジューシーになる漬け方

塩麹ステーキの作り方|安い牛肉がやわらかジューシーになる漬け方

「特売の輸入牛や赤身のステーキ肉は、焼くとかたくてパサつく」。そんなお悩みは、塩麹(塩こうじ)のひと手間で見違えます。塩こうじに含まれる酵素が、かたい肉のたんぱく質を少しずつほぐし、旨み成分(アミノ酸)に変えてくれるからです。この記事は「厚切りステーキ専用」。ハンバーグ(挽き肉)や肉じゃが(煮込み)とは切り分けて、安い牛肉を塊のまま焼く厚切りステーキに絞り、部位の選び方・漬け込み時間・焦がさない焼き方・失敗しないコツまで、沖縄の糀屋がまるごとご紹介します。

なぜ安い牛肉が塩こうじでやわらかくなるのか

スーパーの特売コーナーに並ぶ輸入牛や、赤身中心のステーキ肉。お手頃な一方で、「焼くと縮んでかたい」「かみ切りにくい」と感じたことはありませんか。脂の少ない赤身ほど、加熱で水分が抜けてパサつきやすいのが理由です。

そこで頼りになるのが塩こうじ(塩麹)です。塩こうじは、米こうじ・塩・水を合わせて発酵させた調味料で、こうじ菌が生み出した酵素がたっぷり含まれています。この酵素が、かたい牛肉に2つの変化を起こします。

塩こうじの酵素が牛肉に起こす2つの変化

たんぱく質をほぐす:プロテアーゼという酵素が、肉のかたいたんぱく質を少しずつ分解し、繊維をやわらかくほぐします。かみ切りやすい食感につながります。

旨みに変える:分解されたたんぱく質は、旨み成分であるアミノ酸に変わります。安い赤身でも、奥行きのあるおいしさが生まれます。

これはあくまで「調理としての下ごしらえ」。特別な道具も技術もいりません。塗って漬けて、焼くだけ。高いお肉に頼らなくても、厚切りステーキがぐっとごちそうに近づく——これが塩こうじステーキの魅力です。なお、酵素の働きが期待できるのは火入れをしていない「生」の塩こうじ。加熱殺菌したタイプよりも、肉をほぐす働きが活きています。

塩こうじステーキに向く「安い牛肉」の選び方

塩こうじが特に活きるのは、脂が少なくかたくなりやすい赤身の部位です。サシの入った高級肉ではなく、あえて手頃な部位を選ぶのがこのレシピの狙いどころ。代表的な部位と、塩こうじの活かし方をまとめました。

部位 こんなお肉 塩こうじの活かし方
肩ロース 赤身と脂のバランスがよく、価格も手頃 全体になじませて半日。クセなくバランスよく
もも・ランプ 脂少なめでしっかりした赤身。かたくなりやすい やわらかさを引き出したい、いちばんの狙いどころ
手頃なサーロイン 赤身に適度な脂。特売で見かけることも 短め〜半日。脂のうまみに塩こうじの旨みを重ねて
輸入牛の厚切り 香りにクセが出やすいことがある 塩こうじがクセをやわらげ、まろやかで食べやすく

※部位の呼び方や特徴はお店により異なります。ステーキ用としてカットされた赤身の厚切り肉であれば、基本の手順は共通です。

薄切りの牛こま肉やサシの多い和牛はこのレシピの対象外です。前者は炒め物・煮物向き、後者はもともとやわらかいため、塩こうじで下ごしらえする必要はありません。「かたくなりがちな赤身の厚切りを、やわらかく焼きたい」ときにこそ、塩こうじが力を発揮します。

材料・道具(基本の目安)

まずは基本の材料です。分量は一般的な目安なので、お好みで調整してください。

  • 牛ステーキ肉(赤身・厚切り) 1枚(約200〜250g/厚さ1.5〜2cm程度)
  • 塩こうじ 大さじ1〜2(肉1枚に対して。一般的には肉の重量の約10%が目安とされます)
  • 焼き油 サラダ油や牛脂など 適量
  • お好みで 黒こしょう/おろしにんにく/付け合わせの野菜 など

道具は、ジップロックなどの密閉できる保存袋と、厚手のフライパン、そして仕上げに使うアルミホイルがあれば十分です。保存袋を使うと、少量の塩こうじが肉全体にむらなくなじみ、洗い物も減らせます。

糀屋のこだわり — 味の土台は「生の塩こうじ」

下ごしらえの決め手は、塩こうじそのもの。仲宗根糀家の生塩こうじは、沖縄で黄麹をつくる糀屋が、米糀と食塩だけで仕込んだ非加熱・無添加の塩こうじです。火入れをしていないので酵素が活きていて、赤身の厚切りをほぐす下ごしらえにそのまま使えます。

塩こうじステーキの作り方(漬け方から焼き方まで)

ここからは、厚切りステーキを塩こうじでやわらかく焼く基本の流れです。時間や分量は目安として、お好みで調整してください。

基本の流れ

  1. 下ごしらえ:肉の赤身と脂の境目に、包丁で数か所の切り込み(筋切り)を入れます。焼いたときの反り返りを防げます。
  2. 塩こうじを塗る:保存袋に牛肉と塩こうじ(大さじ1〜2)を入れ、袋の上から両面にまんべんなくなじませます。塩こうじに塩味があるので、下味の塩は加えなくて大丈夫です。
  3. 冷蔵で漬ける:袋の空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫で漬けます。時間の目安は次章の表を参考に。厚みがある塊は、途中で上下を返すとむらなく漬かります。
  4. 常温に戻す:焼く前に、冷蔵庫から出して20〜30分ほど室温に置きます。冷たいまま焼くと中心まで火が通りにくく、外側だけ焼けすぎてしまいます。
  5. 塩こうじをぬぐう:表面についた塩こうじを、キッチンペーパーで軽くぬぐいます。塩こうじは糖分を含み焦げやすいため、このひと手間が香ばしく仕上げるコツ。旨みは肉の中までしっかり入っています。表面の水分もさっと拭くと、焼き色がきれいにつきます。
  6. 強めの中火で焼く:フライパンをしっかり熱して油をひき、片面を動かさずに焼き付けて焼き色をつけます。焼き色がついたら返し、もう片面も同様に。厚みがある場合は、返したあとに弱火にしてふたをし、じっくり火を入れます。
  7. アルミホイルで休ませる:焼き上がったらすぐに切らず、アルミホイルにふんわり包んで、焼いた時間と同じくらい休ませます。余熱で中心まで火が通り、肉汁が落ち着いて断面がジューシーになります。
  8. 切り分ける:繊維を断つように、少し斜めに包丁を入れて切ると、よりやわらかく感じられます。

厚みで変わる漬け込み時間の目安

塩こうじは、肉の厚みによって最適な漬け込み時間が変わります。薄い肉に長く漬けすぎると身がゆるくなり、厚い塊に短時間だと中心まで働きが届きません。厚み別の目安を表にまとめました。

肉の厚み 漬け込み時間の目安 メモ
薄め(1cm前後) 30分〜数時間 短時間でも風味はつく。漬けすぎに注意
標準(1.5〜2cm) 半日〜1晩(6〜12時間程度) いちばんおすすめの厚み帯。バランスがよい
厚切り・塊(2.5cm以上) 1晩〜1日程度 じっくり。途中で上下を返すと均一に漬かる

※時間はあくまで一般的な目安です。お肉の種類・厚み・冷蔵庫の温度によって変わります。長く漬けたいときも、常温放置は避けて必ず冷蔵庫で漬けましょう。

「今夜のうちに食べたい」というときは、前の晩や当日の朝に袋に入れておくだけ。下ごしらえは数分、あとは冷蔵庫におまかせなので、忙しい日ほど頼りになります。

焦がさず香ばしく焼く7つのコツ

1. 表面の塩こうじはぬぐう 塩こうじは糖分を含んで焦げやすいので、焼く前に軽くぬぐいます。香ばしい焼き色はつけつつ、苦い焦げは防げます。

2. 必ず常温に戻す 冷たいままだと中心に火が入りにくく、外側だけかたくなります。20〜30分の室温戻しを忘れずに。

3. フライパンは先にしっかり熱する 温度が低いと肉汁が出て“焼く”より“煮る”状態に。よく熱してから肉をのせます。

4. 最初は動かさない のせたら触らず、片面にしっかり焼き色をつけてから返します。何度もひっくり返さないのがコツ。

5. 厚切りは弱火+ふたで火を入れる 両面に焼き色をつけたら弱火にしてふたをし、じっくり中心まで。焦がさず火を通せます。

6. 焼いたら休ませる アルミホイルに包んで数分。余熱で火が回り、肉汁が落ち着いて断面がジューシーになります。

7. 繊維を断って切る 繊維に対して垂直に、少し斜めに包丁を入れると、よりやわらかく感じられます。

焼き加減は、指で押して弾力を確かめるのがわかりやすい方法です。やわらかく沈むならレア寄り、しっかり弾き返すならウェルダン寄り。牛肉は表面をしっかり焼けば、中がほんのりピンクでも楽しめますが、心配な場合は中心まで火を通してからお召し上がりください。

付け合わせ・ソース・アレンジ

塩こうじステーキは、肉そのものに下味と旨みがのっているので、シンプルなソースがよく合います。

  • そのまま塩こうじだけで:焼いたあとの肉汁に少量の塩こうじをのばして温めれば、まろやかなソースに。わさびや黒こしょうを添えても。
  • 和風のおろしだれ:大根おろしとポン酢でさっぱりと。脂の少ない赤身に好相性です。
  • ガーリック醤油こうじだれ:焼いたフライパンに醤油こうじとおろしにんにくを加えてひと煮立ち。香ばしく、和風の深い旨みに仕上がります。
  • 付け合わせ:焼いたフライパンの旨みで、玉ねぎ・きのこ・アスパラなどをさっと焼くと一皿にまとまります。
  • 翌日のリメイク:薄切りにしてサラダや丼、サンドイッチの具にしても。

同じこうじの調味料でも、塩こうじは素材の味を生かすすっきりした塩味、醤油こうじは香ばしく和風の深い旨み。使い分けると、ステーキの表情がぐっと広がります

保存とリメイクの目安

たくさん焼いたときや、下ごしらえだけ先に済ませたいときの保存の目安です。

  • 漬けた状態で保存:塩こうじに漬けた生肉は、冷蔵で1〜2日を目安に焼き切るのがおすすめです。すぐ焼けないときは、漬けたまま冷凍しておくと、下味がついた状態で使えて便利です。
  • 焼いたあと:粗熱を取り、清潔な容器やラップで包んで冷蔵へ。一般的には2〜3日を目安に食べきるのがおすすめとされています。
  • 温め直し:かたくなりにくいよう、電子レンジは短時間で。薄く切って冷たいままサラダにのせるのもおすすめです。

※保存期間はあくまで目安です。ご家庭の環境や衛生状態によって異なります。においや色に違和感があれば食べるのは控えましょう。

安い牛肉が、ごちそうステーキに。

沖縄で黄麹をつくる糀屋の、非加熱・無添加の生塩こうじ。塗って漬けて焼くだけで、いつもの赤身がやわらかジューシーに。

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よくある質問

Q. 安い牛肉でも本当にやわらかくなりますか?

A. 塩こうじの酵素が肉のたんぱく質を少しずつほぐすため、脂の少ない赤身の厚切りほど、下ごしらえの効果を感じやすいです。あくまで調理としての下ごしらえで、部位や厚みによって感じ方は変わります。もも・ランプなどのしっかりした赤身で試すと違いがわかりやすいです。

Q. 塩こうじはステーキ肉1枚にどれくらい使えばいいですか?

A. 一般的には大さじ1〜2が目安です。肉の重量の約10%を目安にする方法もよく知られています。塩こうじに塩味があるので、下味の塩は基本的に不要。塩辛くなりすぎないよう、お好みで調整してください。

Q. どれくらい漬ければいいですか?漬けすぎるとどうなりますか?

A. 厚さ1.5〜2cmの標準的な厚みなら、半日〜1晩(6〜12時間程度)が目安です。薄い肉を長く漬けすぎると身がゆるくなることがあるので、厚みに合わせて調整しましょう。詳しくは本文の「厚みで変わる漬け込み時間の目安」の表をご覧ください。

Q. 焼くと焦げやすいのはなぜですか?

A. 塩こうじは糖分を含むため、表面についたまま焼くと焦げやすくなります。焼く前にキッチンペーパーで表面の塩こうじを軽くぬぐうと、香ばしい焼き色はつきつつ、苦い焦げを防げます。旨みは肉の中まで入っているのでご安心ください。

Q. ステーキ用のかたまり肉を漬けたまま冷凍してもいいですか?

A. 塩こうじに漬けた状態で冷凍しておくと、下味がついたまま保存でき、使いたいときに冷蔵庫で解凍して焼けます。解凍中も少しずつ酵素が働くので、まとめ買いした特売のステーキ肉の下ごしらえにも便利です。解凍は冷蔵庫でゆっくり行いましょう。

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