沖縄の『チクザキ』は、菊酒にまつわる習慣です。名前を聞いて、菊の花を入れるのか、葉を使うのか、どう供えるのか迷う方もいるでしょう。ここでは、沖縄県立図書館の調査記録を入り口に、文化の説明と家庭での準備を分けて考えます。
トップ画像は内容を説明するイラストです。実際の商品包装・調理実証の写真ではありません。
沖縄にも菊酒の習慣が記録されている
国立国会図書館のレファレンス協同データベースにある沖縄県立図書館の回答では、沖縄の菊酒に関する複数の郷土資料が紹介されています。行事の始まりは定かではない一方、17世紀後半や18世紀後半の記録にも菊酒の記述があると案内されています。
長く伝わる習慣ですが、起源を一つの年や人物に決めつけないことが大切です。『昔からある』ということと、現在すべての家庭で同じ方法を行うことも別です。
菊の葉を浮かべ、家族を思う習慣
紹介資料には、九月九日に酒へ菊の葉を浮かべ、仏壇や火の神に供えて家族の健康や長寿を願う例があります。地域ごとの事例も挙げられており、家や地域で受け継がれる行事として読むことができます。
ここでの健康や長寿は祈願の内容です。菊酒を飲むことで体に良い変化が起こると説明するものではありません。
供え方は、家や地域の方法を確認する
初めて準備するなら、日取り、供える場所、器、量などを家の習慣を知る方に聞いてみましょう。資料に載る一つの例を、誰にでも必須の作法として当てはめる必要はありません。
また、文化の紹介と飲用の作り方は別です。庭や花屋の観賞用の菊を、そのまま飲み物に入れることは勧めません。飲用に使える食材か確認できないものは使わず、酒類は20歳未満の方に提供しないでください。
お酒を飲まない人も、一緒の時間を
お酒を飲まない方は、無理に飲まず、お茶など別の飲み物で過ごせます。甘酒を用意する場合も、アルコールの表示を確認して選びましょう。酒粕を使うものもあるため、名前だけでは判断できません。
当店の米麹甘酒を食卓で楽しむ提案は、菊酒の正式な代替作法という意味ではありません。家族で集まる時間に、それぞれが飲みたいものを用意するという考え方です。
行事のお酒とは別に、普段の食卓で米麹甘酒を楽しみたい方へ。
甘酒の飲み方・割り方を選ぶ
日取りは「旧暦の九月九日」と確認する
おきなわ物語の旧暦行事カレンダーでは、チクザキを旧暦9月9日の行事として紹介しています。現在のカレンダーの9月9日へ、そのまま予定を入れるわけではありません。家族で準備する場合は、その年の暦と家の予定を照らし合わせましょう。
連絡するときは、「九月九日」だけでなく、集まる実際の日付と時間も共有すると行き違いを減らせます。離れて暮らす家族には、沖縄の旧暦行事としての話なのかも添えると伝わりやすくなります。過去の年の記事に載る新暦の日付を、今年へ流用しないことが大切です。
葉を浮かべる習慣と、花を使う写真を混同しない
菊酒を検索すると、菊の花を浮かべた写真も見つかります。一方、沖縄県立図書館の調査や沖縄の食文化資料では、菊の葉を使う習慣が紹介されています。同じ「菊酒」の名前でも、地域の説明が違う場合があるため、写真だけをお手本にしないようにしましょう。
沖縄美ら島財団の食文化資料「チクザキ」にも、神仏や火の神へ菊酒を供える説明があります。ただし、葉の枚数や器を含む準備は、資料に出てくる一例を買い物リストへ機械的に移すより、その家の方法を確認してください。
地域の語りから、行事の意味を知る
沖縄県立博物館・美術館の民話記録には、読谷村波平出身の話者による「菊酒由来」が残っています。1985年の記録で、大工や馬車曳きなどの行事として、安全を願う様子が語られています。酒の用意だけでなく、仕事や暮らしの無事を願う時間だったことがうかがえます。
これは特定の場所と話者の記録です。今のすべての家庭が同じことを行う証拠としてではなく、地域の記憶を知る手がかりとして読むと、習慣の違いも大切にできます。資料に記録された事実と、そこから感じた意味を分けて受け取ってみてください。
初めて手伝うときに、家族へ聞きたいこと
| 準備の項目 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 日取り | 今年は何日の何時ごろに準備しますか |
| 供える場所と器 | いつも使う器はどこにありますか |
| 用意するもの | 買ってくるものと、家にあるものを教えてください |
| 片付け | いつ、どのように片付けていますか |
「正しいやり方を全部覚えなければ」と構えず、まず一つの準備を手伝うところからでもよいでしょう。受け継いだ器や言葉について聞けると、次に準備する人にも伝えやすくなります。家族の了承があれば、器の置き方や必要なものをメモに残す方法もあります。
飲むことを強要せず、集まる時間を大切に
供えるためのお酒と、食卓で各自が飲むものは分けて考えます。車で帰る人やお酒を飲まない人には、最初から別の飲み物と器を用意しておくと、「少しだけでも」と無理をさせずにすみます。行事に参加することと、酒を飲むことを同じ条件にしない配慮です。
子どもにも出す飲み物は、酒類と分かるように分けます。白い色をしているから、甘いからという理由で、アルコールの有無を判断しないでください。甘酒を選ぶ場合も原材料と商品表示を確認し、酒粕を使うものと米麹を使うものを区別します。
当店の甘酒は行事の作法を変えるための商品ではありません。家族で一息つく飲み物の候補として、好みに合うかを確かめていただくものです。文化の意味を尊重しながら、集まる人が無理なく過ごせる食卓を考えてみてください。
沖縄の行事食を続けて知りたい方は、冬至のトゥンジージューシーもどうぞ。行事ごとに食べ物や日取りの考え方が違うので、一つの作法を別の行事へそのまま広げず、それぞれの由来と家庭の習慣を確かめてみてください。
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どの家庭でも同じ供え方ですか?
地域や家庭で異なります。受け継がれている方法を確認しましょう。
甘酒は菊酒と同じですか?
別の飲み物です。この記事では行事の必須品や正式な代替として紹介していません。


