麹の保存科学|冷蔵と冷凍で酵素の働きはどう変わるか

麹の保存科学|冷蔵と冷凍で酵素の働きはどう変わるか

※画像はイメージです

麹の甘みやうま味を生み出す酵素は、温度によって働き方が大きく変わります。ここでは酵素と温度の関係をもとに、冷蔵・冷凍それぞれの保存で何が起きているのか、塩麹などを凍らせてもカチカチにならない理由とあわせてご紹介します。生塩こうじや醤油こうじ、甘こうじなど麹調味料をご家庭で使っている方に読んでいただきたい内容です。

この記事の要点

  • 酵素がよく働く温度:およそ30〜50℃。60℃を超えると急速に働きを失う
  • 冷凍しても固まらない理由:塩や糖が溶け込み、水が凍る温度そのものが下がるため
  • 使いきりの目安:開封・解凍したあとは冷蔵でおよそ1週間

麹の保存で見るべきは「温度」

麹の保存で結果を左右するのは、冷蔵か冷凍かという置き場所そのものよりも、麹に含まれる酵素が何度で働き、何度で止まるかという温度の性質です。

麹菌がつくるα‐アミラーゼやプロテアーゼといった酵素は、お米のでんぷんやたんぱく質を分解して、糀特有の甘みやうま味をつくり出します。この酵素は温度が上がりすぎると壊れてしまい、一度壊れると常温に戻しても元には戻りません。麹そのものについては麹(こうじ)とは?種類とおいしさの仕組みでも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

生塩こうじ|仲宗根糀家

この記事で使っている生塩こうじ

生塩こうじ

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酵素と温度|何度から働きが鈍るのか

麹の酵素がよく働く温度はおよそ30〜50℃で、60℃を超えたあたりから急激に働きを失っていきます。

米麹の抽出液を使った実験では、50℃で保温してもほとんどの酵素は働きが落ちず、60℃になると低下がはじまり、70℃では30分ほどでほぼ働きを失うことが確認されています。食塩10%の塩麹でも傾向は同じで、50℃・60℃なら6時間置いても酵素の働きに変化はありませんでしたが、70℃では2時間で酵素のほとんどが働きを止めました。冷蔵庫の温度はおよそ3〜5℃、冷凍庫はおよそ−18℃です。どちらも酵素が壊れる60℃には遠く及ばないため、冷蔵・冷凍は酵素の働きを止めているのではなく、ゆっくりにしている状態と考えるとわかりやすいです。

ここだけ押さえれば大丈夫

  • 麹の酵素が壊れはじめるのは60℃を超えたあたりから
  • 冷蔵・冷凍はどちらもこの温度よりずっと低いので、酵素の働きを損なう心配は要りません

冷凍しても固まらない理由|凝固点降下という仕組み

塩麹や醤油麹を冷凍庫に入れてもカチカチに固まらないのは、塩や糖が水に溶け込むことで水の凍る温度そのものが下がる「凝固点降下」という現象によるものです。

水は塩などの物質が溶けているほど凍りにくくなります。食塩をわずか4g、水100mlに溶かすだけで凍る温度はおよそ−2.5℃まで下がり、これ以上溶けないほど濃い食塩水になると−20℃近くまで下がります。塩麹は食塩をおよそ11%、麹の酵素がでんぷんを分解してできた糖をおよそ22%含んでおり、糖にも同じように凍る温度を下げるはたらきがあります。家庭用冷凍庫の温度帯では、この塩と糖の量ではきっちりと凍りきらず、スプーンですくえるやわらかさが残ります。

沖縄では酒づくり用の黒麹・白麹が主流で、食卓のための麹をつくる仲宗根糀家は少しめずらしい立ち位置です(黄麹についてはこちらの黄麹とは?黒麹・白麹との違いで詳しく解説しています)。仲宗根糀家では、生塩こうじや生醤油こうじを酵素が働いたままの状態でお届けするために冷凍便を使っています。届いたら冷凍庫へ。かちかちに固まらないので、冷凍庫から出してもすぐに使えます。

この記事の塩こうじ、あと29品の使い道があります

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商品別・使いきりの目安

仲宗根糀家の生塩こうじは、酵素が働いたままの状態で冷凍便を使ってお届けしています。開封・解凍したあとは、冷蔵でおよそ1週間を目安に使い切っていただくのがおすすめです。

生塩こうじ以外にも、仲宗根糀家が冷凍でお届けしている糀の調味料は同じ考え方で保存できます。解凍したぶんは冷蔵でおよそ1週間ほどを目安にお使いください。使う分だけ取り出して、残りはすぐに冷凍庫へ戻すと風味が保ちやすくなります。

保存方法 酵素の働き 向いている使い方
冷蔵(3〜5℃前後) しっかり働く。ただし時間がたつと色や香りが変わりやすい 数日〜1週間ほどで使い切るとき
冷凍(−18℃前後) 働きが保たれた状態でゆっくりになる。色や香りの変化が少ない しばらく使わない・まとめ買いのとき

生米こうじは冷凍がおすすめな理由

生米こうじのように水分を残した麹は、冷蔵よりも冷凍で保存したほうが色や香りの変化を抑えやすいことが確認されています。

開封した米麹を冷蔵5℃と冷凍−20℃で6か月保存して比べた研究では、どちらも酵素(プロテアーゼ)の働きは保たれていましたが、冷蔵で保存したものは色が茶色っぽく変化し、においも強くなっていました。冷凍で保存したものは、色もにおいも大きな変化がなかったと報告されています。生米こうじをすぐに使いきらない場合は、冷凍庫で保存し、使う分だけ小分けにして取り出す方法が向いています。生麹と乾燥麹の違いや使い方については生麹と乾燥麹の違い・使い方でも解説していますので、あわせてご覧ください。開封後の具体的な賞味期限は商品によって異なりますので、パッケージの表示もご確認ください。

常温に置いてしまったときは

麹調味料を室温に置いていても、涼しい季節であればすぐに品質が大きく変わるわけではありませんが、気温が上がる時期は注意が必要です。

食塩13%の塩麹を5℃・25℃・35℃の環境で84日間保存して比べた研究では、5℃と25℃では酵素の働きも糖の量もほとんど変わらなかった一方、35℃では酵素の働きが落ち、色も茶色っぽく変化したと報告されています。空調の効いた室内であれば大きな心配はいりませんが、漬け込みは冷蔵庫で。夏場や気温の高い日は、キッチンに出しっぱなしにせず冷蔵庫に入れてください。

この記事で使う糀

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あわせて読みたい 麹の保存についてさらに詳しくは米麹(生米こうじ)の保存方法塩麹の保存方法と期間甘酒の保存方法、麹菌そのものについては麹菌とカビの違いもご覧ください。

この記事の保存方法で使っている麹調味料

酵素が働いたままの状態を保つため、冷凍でお届けしています

生塩こうじを見る生米こうじを見る

よくある質問

Q. 塩麹や醤油麹は冷凍のまま使ってもいいですか?

A. はい。仲宗根糀家の生塩こうじ・生醤油こうじは冷凍でも完全には固まらないので、スプーンで必要な分だけすくって、そのまま料理に使っていただけます。

Q. 冷蔵と冷凍、どちらで保存すればいいですか?

A. すぐに使い切る分は冷蔵、しばらく使わない分は冷凍が向いています。冷凍のほうが色や香りの変化を抑えやすいことがわかっています。

Q. 酵素は冷凍すると壊れてしまいますか?

A. いいえ。酵素が壊れはじめるのはおよそ60℃を超える高温からで、冷凍庫の温度帯(−18℃前後)はそれよりずっと低いため、働きがゆっくりになっているだけです。解凍すればまた働き始めます。

Q. 開封・解凍したあとはどのくらいで使い切ればいいですか?

A. 冷蔵でおよそ1週間を目安に使い切ってください。使う分だけ取り分けて、残りは早めに冷蔵庫へ戻すと風味が保ちやすくなります。

Q. 常温に出しっぱなしにしてしまったらどうすればいいですか?

A. 涼しい時期であれば大きな心配はいりませんが、夏場や気温の高い日はキッチンに出しっぱなしにせず、気づいた時点で冷蔵庫に入れてください。

Q. 生米こうじも冷凍したほうがいいですか?

A. はい。生米こうじは水分を残した麹のため、冷蔵よりも冷凍のほうが色やにおいの変化を抑えやすいことが研究でも確認されています。使う分だけ小分けにして冷凍しておくと使いやすくなります。

この記事の塩こうじ、あと29品の使い道があります

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